「フェルメールの絵に忍び込んだ猫たち•召使いのいる窓辺」
こんにちは。管理人のふぅです。
「美しい驚き泉谷淑夫展」まで、残すところあと、1週間とすこしとなりましたね♪
今日の一枚、DMにもなっているこの作品は、
『フェルメールの絵に忍び込んだ猫たち』のシリーズのうちの一点です。
あれ?、何処かで見覚えが、、、と
泉谷ファンのみなさんの中には、ぴんときた方も少なくないのでは?
今日は、作品鑑賞の予習にもぴったりな、
泉谷画伯によるテキストをご紹介いたしましょう。
『フェルメールの絵に忍び込んだ猫たち』のシリーズが
もっとみたくなります(きっと。)
『フェルメールの絵に忍び込んだ猫たち』について
フェルメールの絵には、光が差し込む室内に一人か二人の人物がいる
という構図が多い。
画面には静けさが満ちていて、それを邪魔するような要素、
例えば子どもや犬などは決して出てこない。
では絵の中の主役は誰なのかというと、
画中の人物と答える人が多いのではないだろうか。
たしかに表向きはそうだろう。しかし真の主役はというと、
それは室内を満たす柔らかい光ではないだろうか。というのも私がフェルメールの絵で最も心ひかれる部分は、
画中に描かれた窓であるからだ。フェルメールが描く窓は実に美しい。
正確に言えば、窓から差し込む柔らかい光の描写が素晴らしい。
いくら見ていても見飽きない。
そう思っていたら「この部分を模写してみたい」
という気持ちが起こり、
次いで「この部分だけでも絵が成り立つのではないか」
と思うようになった。そこで手始めに《手紙を書く女主人と召使》の絵で試したところ、
縦横比を2対1でトリミングすると、
ほどよい緊張感が得られることに気づいた。
しかし窓をトリミングするだけでは私の作品とはならない。
そこで思いついたのが、トリミングした画面に
フェルメールの絵には絶対に出てこないものを描き入れることであった。そしてそれが私らしいモチーフであればなおさら面白い。
そうなるともうこれは猫しかいない。
猫は犬と違って吠えないので静けさは壊さないし、
そもそも猫は陽だまりの窓辺は大好きである。「猫ほどフェルメールの描いた窓辺にふさわしいものはいない!」と勝手に思い込んだのである。
こうして『フェルメールの絵に忍び込んだ猫たち』のシリーズが始まった。
フェルメールの絵をじっくりと模写するのは楽しいし、
微妙な色調を出す勉強にもなる。
さらに“禁じ手”の猫をフェルメールに無断で画面に描きこむのは、
何やら秘密めいていてわくわくする。ただし「猫がいてもフェルメールの絵の雰囲気を壊さないこと」、
これがこの制作のテーマである。それが上手くいったかどうかの判定は、絵を見た人にゆだねたい。
泉谷淑夫
▶▶『フェルメールの絵に忍び込んだ猫たち』シリーズの他の作品は、こちらから
それではまた。
(ふ)
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