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「ジューンブライド」のなぞが解けた!?
梅雨の季節が好きな人はあまりいないと思います。
それは歌川広重や川瀬巴水の描く「雨の情景」が好きな私でもそうです。
何しろ雨傘があるだけで行動が制限されますし、靴がぬれるのもいやですね。
そんな季節に結婚する女性たちを、日本でも「ジューン・ブライド」と呼んで
讃えたりしているのは何故なんだろうと前から疑問に思っていました。
もともとは6月が女性の結婚や出産の守護神である
ジュノーにちなんでいることから来た言葉と言われていますが、
あまりピンとはきませんでした。
その謎は8年ほど前の6月に、イギリスを10日間旅行した時に解けました。
イギリスの6月は1年で最もよい季節で、
晴れ間に出会うことの少ないイギリス人にとっては、
またとない旅行のシーズンなのです。
実際に旅先で雨が降ってもすぐに上がり、
傘はほとんど必要ありませんでした。
だから、最もよい季節に結婚できる女性たちに
「ジューン・ブライド」という称号を送って祝福するのです!
つまりイギリスの気候が生んだ言葉なのです。
最もよい季節にハネムーンに出かけたら、素敵な思い出もできるでしょうね。
そこで勘ぐったのが、これは日本一流のブライダル戦略だな、ということです。
商売の世界では「ニッパチ」とよく言いますが、
1年で一番寒い2月と一番暑い8月は商いにはもっとも不向きという意味です。
最近は冷暖房が完備していますから、昔のようではないでしょうが、
私も1、2月の個展というのはやったことがないですね。
結婚式も「ニッパチ」は避ける傾向にあるようです。
同じような意味で雨続きの6月はやはり商いや結婚式には不向きなのではないでしょうか。
そこで「ジューン・ブライド」という言葉を使って、
6月にも結婚式をやってもらおうとしたのでは、という推理です。
なにしろ2月に「バレンタイン・デー」をつくって、
お菓子業界がぼろもうけしている国ですからね(笑)。
でも6月に結婚する人たちはいるわけですから、私も祝福はしたいと思います。
そこで6月の絵を《翔-ハネムーン》にしました。
何故か背中に昆虫の羽根が生えた二頭の羊が、月光を浴びて
雲海に浮かぶ「かぼちゃ島」へと向かう姿です。
題名は言葉遊びで、羊に羽がついたので「翔」、
羽と月で「ハネムーン」というわけです。
時にはこんな遊びもします。
うっとおしい梅雨の季節にくすっと笑ってもらえたら嬉しいところです。
泉谷 淑夫