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つつまれて
杉田ソノ子
日々の暮らしは迷うことが多くて
つかの間のこの世のことと知りながら
じっとうつむいて 私は考え込んでしまう
陽はいつのまにか西へ傾き 木々は
伝え始める 明日への約束の言の葉を
純真な子どもの心に返って私はあなたを探す
ひそやかにひめやかに
つながっている あなたと私の糸は
時空間の中に溶けて見えないが
ひとすじ まっすぐに伸びた道が
月のさやかな光に照らされて浮かび上がる
時代を超えたいのちの歌が星空からふり注ぐ
ひたむきに生きていこう
つつましく
慈愛に満ちたあなたの眼差しに包まれて
「光・選ばれし者」
新年明けましておめでとうございます。
今年は未年ということで、例年になく張り切っています。
個展も、
2月から3月にかけては広島の八千代の丘美術館で、
8月後半にはギャラリー倉敷で
と2回開催しますし、
5月には私の主催するグループ『陽の当たる岡』の
第5回記念展が天神山文化プラザで、
また初出品となる『公募団体ベストセレクション展2015』が
東京都美術館で行われる
という具合です。
私の羊の絵が装丁に使われている
筒井康隆先生の全集の方は『ベストコレクション』ですが、
こちらも1月から11月にかけて、
2~7巻が順次刊行され、完結する予定です。
というわけで、未年のスタートの絵は、やはり「羊」で行きたいと思います。
羊となると候補が多すぎて、絵を選ぶのに困るところですが、
新年にふさわしい絵といえばこれしかないだろうということで、
連作『羊の情景・つつまれて』の中から、
《光・選ばれし者》を選ばせてもらいました。
この作品を含む連作は、
杉田ソノ子さんという詩人の方との
コラボレーションから生まれたという珍しい経緯を持っています。
最初に私が描いて発表した5点の連作画の習作を
杉田さんが見られ、
そこから浮かんだイメージを素敵な詩に表してくれました。
今回は参考に5点の連作絵画と、
それに付けられた詩も合わせて紹介します。
この連作のテーマは、
「日常に疲れた羊が、ファンタジーの世界を旅して童心と活力を取り戻し、
再び現実世界の穏やかな暮らしに帰る」というものです。
このような展開は、絵本の世界ではよく見られますね。
5点の中で《光・選ばれし者》は、中央に位置し、
まさに雲海の上に昇る太陽を背に、子羊が新たな決意に身を引き締めたところです。
逆光に輝く子羊には、「選ばれし者」としての運命が託されています。
それまでも何度か雲海と月光と子羊の組み合わせは描いてきましたが、
この絵がそれらの集大成的なイメージとなりました。
尚、連作『羊の情景・つつまれて』の中から、この絵ともう一点を、
1月20日(火)~2月1日(日)に
ギャラリー倉敷で開催される『50号のアート展』に出品しますので、
ぜひそちらにも足をお運びいただければと思います。
さて、新年にみなさんはどのような決意や目標を掲げましたか?
新年には、色々なことをリセットして心と体の疲れを取り、
この絵の子羊のように新しく生まれ変わった気持ちで、
穏やかで健やかな一年を過ごして欲しいものです。
泉谷 淑夫