Gallery -神無月-《接吻》

《接吻》

《接吻》

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「月と羊」

 

10月と言えば私の誕生月!
今でも一年の中で10月が一番好きですね。
気候も過ごしやすいし服のコーディネートも楽しめるし、
コートはいらないし、
おいしい自然の恵みはいっぱいだし、
言うことありません!

そして10月は月がとってもきれいに見えるんですね。
中秋の名月は9月ですが、昔から10月も月見のシーズンなんです。

この月に生まれたせいか、私は月を描くのが大好きです。
月光の風景、月と猫の組み合わせ、月と羊の組み合わせ、月と鳥の組み合わせ等々、
とにかくたくさんの月の絵を描いてきました。

何しろ伊勢神宮美術館の特別展『月』に招待されたくらいですからね。

今日はそんな中から「月と羊」を組み合わせた《接吻》という絵をご紹介します。

 

《接吻》はポプラのそびえる丘で、大き満月を背景に、羊が草を食んでいる夕暮れ時の情景です。

羊のポーズは、俵屋宗達が平家納経の願文見返しに描いた《鹿図》のポーズを引用しました。
ひねった体が円形に収まるようにしたので多少の無理はあります。
背景の満月とのリフレイン効果を狙ったわけです。

この絵のアイディアは最初サムホールに描き、
次に色調を変えて再びサムホールに、
さらに画面を円形にして描きました。
サムホールの時の月は三日月だったのですが、
画面を円形にしてからは満月に変えました。

以上の3点は評判がよく、すべて売れてしまいましたので、
自分用にと描いたのが比較的サイズの大きいこの絵なのです。

円形の額は珍しく、これはイタリア製です。
羊と満月とさらに額の円形がリフレインしているというわけです。

 

ところで皆さんは題名の《接吻》の意味がわかりましたか?

羊が草を食んでいる仕草を、大地への「接吻」に喩えたんでしょうって。
それもありますが、実はこの絵にはもっと大きな、宇宙的な意味が隠されているんですよ!

 

わかりましたか?

 

そうです!昇る月が大地に触れた瞬間を描いているんです。
だからこの絵は月と地球の「接吻」がもうひとつのテーマなのです。
ロマンチックでしょう。

 

皆さんも10月のきれいな月を眺めながら、ロマンティックな夢想に浸ってみてはいかがでしょうか。

 

泉谷 淑夫

 

伊勢神宮『月・歌会始御題によせて』に出展された作品「SHOOT」はこちらからご覧いただけます

 

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